家具が育てる空間

皆さんは普段、どんな空間で過ごしているのでしょう?
寛ぐ時、仕事をする時、創作する時、遊ぶ時。
その空間には何がありますか?
その空間は何によって構成されてますか?
その空間はどんなイメージで作ってますか?
今回は家具を軸に空間を作るという事のご提案です。





自例紹介

私が無類の家具好きという事は皆様ご存知かと存じます。
自分が収集した家具を眺め、ワイングラスにファンタを注ぎ、ニマニマしながらその使い心地やフォルムを楽しむという、ちょっとイッちゃった系のアブない夜を過ごしています。
家具好きが高じて、家具に合う家を建てるという、筋金入りの家具マニアと言っても過言では無いかも知れません。
以前、自邸で使用している家具に関したエントリーをしておりますので、参考までにこちらをご覧下さい。

Macに合った家と家具 #obt | entrance / exit
前回のエントリーでワンボタンの声の御三方とお会いした話を書きました。 その時の宴はもちろんApple系の話で盛り上がったのですが、私のMacを使う環境についても盛り上がって頂きました。 自分でもこだわって作ったこの環境、前回のエントリーの外伝・補足といった感じで私のAppleプロダクトを囲む環境を晒してみることにします。


日本の住宅事情

私自身建築業界に身を置いた事もないですし、住宅事情に明るい訳ではありません。
しかし自身の経験や周りの声を聞いていると、現在の日本の住宅事情が透けて見えてきます。
日本の今の住宅建築は戸建、賃貸に関わらず”外から内へ”の発想で作られる事が多いのではないでしょうか?
土地の開発をし、街区に切って、区割りした土地にハウスメーカーが家を建てて売る。
例え注文住宅でも、ハウスメーカーの都合を押し付けられます。
ハウスメーカー側の年度内売上に間に合う様な急かしたプランニングや、粗利の取れる部材しか提案されないなど、顧客無視のやり方、いろんな方々から聞こえてきます。
当然家の中も暮らし方も全てそれらの”外側”の事情に規定されていく事になります。
それでは住み手の生活の機微をすくい上げる様な住環境は得られません。


内から外へ

私は逆だと思うんです。
自分がどんな場所に身を置きたいかが先にあるべきではないでしょうか?
私の場合はまず家具ありき。
だから家具から考えていったんです。
契約からプランニング、施工から引き渡しまで4〜6ヶ月で済んでしまう事も多いと聞きますが、私はどうしてもその流れに身を任せる事が出来ませんでした。
幸い私の意図を面白がって頂けるハウスメーカーさんと出会い、営業の方、設計士の方々といい意味で徹底的にやり合いました。
結果自分の納得する空間が完成するまでに1年半の歳月を掛けました。
手持ちの家具の縮尺を全部書き起こしてもらい、一つ一つの図面の中に落とし込んでいきました。
家具のためのスペースが足りない時は外側の建物を考え直しました。
つまり私の家は”内から外へ”の発想で作られているのです。
「賃貸住宅に住んでいるから」と私の例を絵空事の様に思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし”外側”の事情に規定されるとは言え、”内側”の家具の選び方次第で生活や気分がいかようにも変化するハズです。
視点を変えれば”外側”が既に規定されている分、”内側”に力を入れて取り組む事が出来るとも言えるのではないでしょうか?
私の大好きな家具メーカー、ハーマンミラーの108年の歴史を108秒にまとめた素敵な動画があります。
この動画も”内から外へ”を感じさせてくれるモノですのでご覧下さい。


一つの家具から始める自分だけの空間作り

では家具から空間を考えていく際、何かノウハウはあるのでしょうか?
これは私流の空間作りのノウハウですが、”一畳の広さがあれば出来る、家具によるコージーな空間作り”のレシピを書き出してみたいと思います。
案外分かりやすいと思いますので、是非参考にして頂ければ幸いです。
まずはパーソナルチェアを手に入れます。
金額は予算の3倍でも5倍でも10倍でも、逆に安くてもOKです。
私の様にミッドセンチュリー系でも、北欧系でも、人の手で使い込まれたかの様なシャビーシックなモノでも、和テイスト満載のモノでも構いません。
分割払いにしてでも、苦労しても、とにかくよく吟味してお気に入りなモノを購入します。
次に足元に敷くラグ(カーペット)を手に入れます。
ラグによって場所を占有出来ます。
あとはコーヒーテーブル。
自分の好きなモノが置ける様になります。
この3つが基本で、加えるなら照明です。
コーヒーテーブルの上に置いてもいいでしょうし、フロアライトでも構いません。
光によって自分専用の場所が完成します。
もちろん順番はどれからでもいいのですが、お気に入りの家具を軸とした空間作りは、統一感が生まれます。
クッションと膝掛け、オットマンがあればうたた寝も出来ます。
全部一度に揃わなくても、少しずつバージョンアップしていくのも空間作りの醍醐味です。
要は洋服のコーディネートと同じ事。
トップス、ボトムス、ジャケットにコート、帽子にシューズ。
いろんなアイテムの中から「今日はこれを身に着けたい」と思う1アイテムを軸に周りを選んでいくでしょう?
それと全く同じ事です。
何も難しい事はありません。
ちょっとだけ自分の意見を押し付けますが、椅子は作家モノの名作であればベストでしょう。
なぜなら椅子は、人が1番身を任せる面積が大きい家具だから。
ベットの方が身を任せる面積は大きいのでしょうが、能動的に活動している時に1番触れる面積の大きいのは椅子でしょう。
名作と呼ばれる椅子を私も沢山所有していますが、座り心地がまるで違います(そしてお値段もまるで違うのですが)。
何気無く触れる機会の多い家具。
当たり前過ぎて意識もしないでしょうが、一日で触れない事などない家具。
それ故に、大袈裟に言えば「人は家具によって育てられる」と考えています。
触れるモノ、身を置く場所から受ける影響はとても大きいです。
それとあと一つ。
コージーな空間にしたいのであれば、そこにパソコンは持ち込まない事。
これは寛げる空間を作るのに1番大事なポイントかもしれません。
そこにパソコンがあるだけで雑多な情報に塗れてしまい、芯から寛げる空間では無くなってしまいますから、ワーキングスペースは完全に切り離した方がいいでしょう。
我が家も全てこの組み合わせで出来ています。
家具を通して作られたコージーな空間の集合です。
人にアドバイスを求められた時も基本は同じです。
その人の好みをじっくり聞く。
そして軸になる家具から発展させていく。
自分だけのパーソナルな空間を、家具を軸にして考える。
一見難しそうですが、自分の好きなモノや好きなテイストをハッキリ理解出来れば、案外簡単に出来るハズです。
私はニューヨーク近代美術館(MoMA)のiOS Appを頻繁に閲覧しています。
近い将来絶対に行ってみたい美術館ではありますが、MoMAに収蔵されてある家具はどれもこれも一級品揃い。
最後にMoMAのiOS Appのリンクを貼ってこのエントリーを結びますが、秋の夜長にこれを見ながら自分のパーソナルな空間を妄想するというのもなかなか粋な過ごし方ではないでしょうか?

MoMA 1.0.3(無料)
カテゴリ: 教育, エンターテインメント
販売元: MoMA, The Museum of Modern Art – Museum of Modern Art(サイズ: 1.7 MB)
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