【家具】ジョージ・ネルソンのプラットフォームベンチはベンチにもテーブルにもなる優れもの
前回から始めた僕の愛用の家具シリーズ。
2回目の今回はジョージ・ネルソンのプラットフォームベンチという作品をご紹介します。
ジョージ・ネルソンとは
ジョージ・ネルソン(George Nelson、1908年5月29日 – 1986年3月5日)は、アメリカ合衆国のデザイナー、建築家、編集者。
1946年から20年間ハーマンミラー社でデザイン部長を務める。
その間、当時無名だったチャールズ・イームズ、レイ・イームズ夫妻の才能を見出し、同社のデザイナーとして起用する。
他にもイサム・ノグチ、エーロ・サーリネンらを招き、同社を一躍世界的な家具メーカーへと成長させた。
自身もデザイナーとして活躍し、Nelson Clock Series、Nelson Platform Benchなどの名作家具を残す。Wikipediaより引用
インテリアデザインや家具にあまり興味が無い方はジョージ・ネルソンを知らないかも知れませんが、デザインの世界ではかなり有名な人物です。
ハーマンミラー社のデザインディレクターを長く務めたジョージ・ネルソンはあのイームズ夫妻やイサム・ノグチを見出しました。
イームズ夫妻、イサム・ノグチ、エーロ・サーリネンなどネルソンによってハーマンミラー社に迎えられたデザイナー達の活躍によって、同社は一躍世界的な家具メーカーへと成長を遂げました。
そういった意味でジョージ・ネルソンは稀代の名プロデューサーであると言えます。
一方でネルソンは、自身でも数々の名作をデザインした名デザイナーでもあります。
今回ご紹介するプラットフォームベンチの他にもネルソンクロックシリーズやマシュマロソファやココナッツチェアなど、どこかで一度は見たことがあるようなモノばかり。
デザイナー、ディレクター、建築家、プロデューサーと、幅広い分野で活躍しているネルソンはこんな言葉を残しています。
「トータルなデザインとは、すべてとすべてを関連づけるプロセスにすぎない。そのため、デザイナーは何かに特化するよりも、広い知識と理解を身につける必要がある」
広い知識で色々なことに取り組んだネルソンの功績は様々な形で現代に生きています。
どこまでもシンプルなプラットフォームベンチ
ネルソンがデザインしたプロダクトの中でも一番ジェネリック品も多く、故に一番有名と思われるプロダクトがプラットフォームベンチです。
1946年に発表されたプラットフォームベンチ。
ハーマンミラー・コレクションに加えられたネルソンの最初の作品となりました。
こんな逸話が残っています。
来客を細長い板の並んだベンチに座らせて早々に帰らせようという考えで、ニューヨークにある自身のオフィス向けに作った、プラットフォームベンチ。
しかし来客はこのベンチを快適に感じて腰を上げなかったそうです。
見方を変えればネルソンのデザインコンセプトの数少ない失敗例とも言えます。
他のネルソンのプロダクトは女性的な”曲線美”がその最大の魅力だと思っているんですが、なぜかプラットフォームベンチは全く曲線がありません。
限りなく真っ直ぐ直線で構成され一見無骨なんですが、色味がそうさせるのか不思議と柔らかい印象を受けます。
天板は格子状になっており、隙間から床が見えるので、大きさの割に圧迫感はありません。
どこまでもシンプルなデザインですので、部屋のどこに置いてもスッと馴染んでさりげない存在感を醸し出すのがプラットフォームベンチの真骨頂です。
我が家のプラットフォームベンチ
我が家のプラットフォームベンチは僕がデザイナーズ家具に目覚めて比較的早期にハーマンミラー社の現行正規品を購入しました。
ただ、僕はこれをベンチとして使うつもりで買ったのではなく、リビングテーブルとして使用するために購入しました。
プラットフォームベンチ用のガラストップ天板を別途購入し(この天板、娘が幼少の頃オモチャを叩きつけられぶち壊されたのでもう一枚買わざるを得なくなったんですが)、現在でも自宅リビングのど真ん中に鎮座させ、現役バリバリで使用しています。
これをリビングテーブルとして使っちゃうと他のテーブル使えないなあというのが正直な感想です。
前述の通り、直線的なデザインで一切の無駄がありませんからスッとリビングに馴染みますし、横幅が120cm程度あるにも関わらず格子状の天板のお陰で、ドスンとした圧迫感も全くありません。
一方その大きさのお陰で、ある程度の来客であればこのテーブルだけで充分対応可能です。
購入を検討していた時期、イサム・ノグチのコーヒーテーブルとプラットフォームベンチ、どちらにしようかと散々迷いました。
前者もかなり美しいテーブルで、もし買っても満足感は相当高いモノであることに間違いはありません。
ただ、子供達が家の中を走り回っている今、前者の特徴でもある厚さ19mmの分厚いガラストップがかなり危険なのでは?とも思いますし、結果論ですがプラットフォームベンチを買って良かったと思い込むようにしています(そうは言ってもプラットフォームベンチの角も結構危ないんですけどね)。
今後子供達が成長してリビングに寄り付かなくなったら、改めてノグチコーヒーテーブルを購入し、プラットフォームベンチは本来のベンチとしてリビングで使うか、それとも子供達の部屋用に譲ってもいいかなと考えています。
前回記事のアントニーもそうですが、デザイナーズ家具の最大の魅力って一度買ったら一生使えるということだと思うんです。
もちろん物理的に壊れてしまえばその限りではないんですが、よく吟味して購入した高価な家具って大事にするじゃないですか(大事にし過ぎて使わないのは本末転倒ですが)。
また、高価で手が出しづらいとも思われがちですが、不思議とこの手のデザイナーズ家具って頑丈なんです。
チープでそれなりなモノを買って、壊れて、また買い直すなんていう負のスパイラルに陥ることがありませんし、よく吟味して購入すれば次は何を買おうか?なんていう悩みもありませんので、結果的にコストパフォーマンスは良いのではないか?とさえ感じています。
なによりこういったデザインに触れるというのは自分の満足感にも繋がりますし、子供達の情操教育にも良いんじゃないか?と勝手に思うことにしています。
映画や絵画、音楽や洋服もそうですが、普段日常的に使う家具も素敵なデザインのモノを触れさせておけば、本物を見る力が子供達に備わってくると信じています。
幸い今ではジェネリック品もたくさんありますから、安価でプラットフォームベンチのデザインを楽しむことが可能です。
良い感じのベンチ・テーブルをお探しの方にオススメです。
プラットフォームベンチで朝食中の子供達。日常にもデザインを。