天皇陛下の生前退位について考える

参院選も終わり、SNS上でウザい舌戦がようやく静まったと思った矢先に、参院選のことなど吹き飛んでしまうニュースが報道されました。
天皇陛下が生前退位を打診されているというニュースです。





天皇家

僕は右寄りでも左寄りでもありませんが、それでも天皇陛下は畏敬の念を抱く存在です。
歳を重ねる毎にその思いは大きくなっています。
多くの日本人にとって天皇陛下はそういう存在ではないでしょうか?
僕が幼少の頃、当時は昭和天皇が御存命で時折その御姿をテレビで拝見するにつけ、このおじいちゃんは何者なのか?と、今思うと大変恐れ多い疑問を持つも、漠然と「この人は存在することが仕事なのだ」と朧げに思っていました。
昭和天皇が崩御された時のニュースは未だに覚えていますし、子供ながらにとんでもないことが起きたのだと感じたのを覚えています。

古代より万世一系125代続く天皇家の歴史。
現在、世界には28の君主国があるそうですが、その中で君主の家柄として最古の歴史を持つのが日本の皇室です。
その起源を特定するのは難しく、さかのぼると神話に行き着きます。
現存する王朝の中で神話に由来する系統は他にないでしょう。
僕の史観ですが、皇室が長く続いた理由は、比較的早い時期に政治権力の上位にある国政上の最高権威としての地位を確立したためだと考えます。
また、日本が過去に一度も他民族の直接支配下に置かれなかったという事情もあると思います。

しかし世界史的に見ても稀有な系譜は、決して悠々と続いた訳ではありません。
古代天皇をめぐる謎。
皇位継承問題で揺れた女性天皇の擁立。
武家政権との相克に苦悩した近世の天皇。
王政復古によって民主主義と共存する新しい天皇像。
そして第二次世界大戦敗北による絶対君主制から象徴天皇制。
様々な経緯を経て今日まで続いてきました。

まさに皇室は日本の歴史そのものであり、天皇陛下を敬う感情というのはある意味日本人なら当たり前の感情なのかもしれません。


今上天皇

今般、天皇陛下が退位を打診されているという皇室関係者からの話が漏れ伝えられ、大きな話題となっています(宮内庁はそれを否定しておりますが、「噂」を事実として認めることは宮内庁にとっては非常に都合が悪いのでしょう)。
今上天皇は昭和天皇の難しい過去を引き継いだという意味において、非常に困難なご公務をこなしてこられたと思います。
また、社会が大きく変化する中で、天皇家が大きく庶民の茶の間の話題になることもあり、昭和の初期の時代を知っている年配の方には様変わりを感じられているのではないでしょうか?

昨今、82歳の天皇陛下にお疲れが見えることが時々話題になっており、陛下ご自身そろそろ「引退したい」という趣旨のことをつぶやかれてきたのだろうと察します。
日本の皇室典範には「引退」である生前退位の規定がないそうで、生前退位出来るとも出来ないとも言えない状態とのことです。
これを法制化するには時間がかかるというのが報道の趣旨でした。
でも、82歳の陛下にあと数年というのも無理を押し付けている気がします。

東日本大震災の時も、熊本地震の時も、誰よりも心を痛められ、被災地を訪問し、被災者の方々を手厚くお見舞いされた御姿は、我々国民を感涙させて頂きましたし、奮い立たせて頂きました。
「東北地方太平洋沖地震に関する天皇陛下のおことば」を覚えているでしょうか?
天皇陛下が不特定多数の日本国民に対し、マスメディアを通じて自らメッセージを伝えたことは、1945年(昭和20年)8月15日に昭和天皇がポツダム宣言の受諾を国民に伝えた玉音放送以来66年ぶりのことで、一部で「平成の玉音放送」とも表現されました。
閲覧すると、常に我々国民を第一に想う陛下のお人柄を感じることができます。

東北地方太平洋沖地震に関する天皇陛下のおことば – 宮内庁

それにしても例えご公務とはいえ、未だ精力的に活動している(せざるを得ない)82歳って…
この報道で知った最近の天皇陛下のご公務は、「激務」という一言で済ませられない程のものです。
正直僕の年齢でもこんな過密スケジュールはとてもじゃありませんがこなせません、無理ゲーです(そもそも一般平民のグータラな僕と天皇陛下を同じ土俵で考えるなという話ですが)。

個人的には、陛下に退位、もしくは皇太子殿下にまずは摂政に即位して頂き、そのうえで皇室典範を改正されたら良いんじゃないかと思います。
そして皇太子殿下に文字通り「帝王学」をゆっくりと御指導して頂き、皇室と日本の行く末を見守って欲しいと思います。
もういいじゃないですか。
もう充分じゃないですか。
「人間天皇」である以上、天皇陛下も人間としてのゆったりした余生をお過ごしになる権利はあるのではないでしょうか?
ましてや陛下御本人がそろそろ、と口にされているのであれば、それを積極的に受け入れるのが世の在り方だろうと思います。
それでも「最後までご公務を全うしろ」なんて言うのは鬼か畜生かと思うのですがいかがでしょう?

日本の場合、いったん敷かれたレールを変えることがなかなか出来ません。
良い部分もありますが、個人的にはもう少しフレキシビリティを持たせても良いのでは?と感じます。
ましてや生前退位は200年前までは普通に行われてしましたし、明治に入って出来た皇室典範でそれが謳われていないということですから、ある意味皇室典範の片手落ちとも言えなくはありません。
憲法改正議論が再び盛り上がる今日ですが、まずはこの改正が先にありきではないでしょうか?


皇室、天皇制を考える良い機会

今回の報道は、日本人として皇室や天皇制ということに関して改めて考えさせられる良い機会になったのではないか?と思います。
日本国民の象徴たる天皇陛下。
かつて男子のみの継承について議論がありましたが、あれも秋篠宮様に愁仁様がお生まれになったことで忽然と消えてしまいました。
本来であれば男子継承が物理的に継続できる環境にあったとしても、それこそ女性の地位の話ではありませんが、議論を継続すべきだったと感じていますし、今後天皇制を継続していく上で、議論を継続しなければならないと思っています。

最後にしつこい様ですが、僕は右寄りでも左寄りでもありません。
しかし、天皇陛下におかれましては御心穏やかな時間をお過ごし頂きたいと心底思っております。