Webデザインを仕事にするということ

だいぶ更新が滞っておりました。
この期間何をやっていたかと申しますと、普段の業務も相変わらず多用でしたが、その合間でホームページ作成を3件依頼されまして、所属する会社の業務としてWebデザインをしこしこやっておりました(内1件は自社サイトなのですが)。
今までは趣味で当サイトなどを構築しておりましたが、業務となると改めて面白さと大変さが身に沁みました。





最近のトレンドを押さえる

スマートフォンの普及で、PCで閲覧するWebサイト(以下、PCサイト)に対する注目度は下がっています。しかし、PCサイトが不可欠な領域もまだまだ多いです。

ハードウェア的に大きな変化のないPC向けのWebデザインというと、ノウハウは固定化されている印象もありますが、実際には時代の流れを受け、今も変化を続けています。
トレンドに合わせれば成功、というではありませんが、その根底に流れているユーザ動向の変化を理解した上で製作してみました。

特にここ最近はFacebookやTwitter、LINE などのSNSは、私たちの生活に無くてはならない存在となりつつあります。
またスマートフォン普及率が高くなっており、10年前とはユーザー環境が大きく変わってきています。
その結果、画面スクロールに抵抗感が無くなり、とりあえずWebサイトが表示されれば下にスクロールする人が劇的に増えてきています。
また言わずもがなですが、スマートフォンやタブレット端末で閲覧した際のレイアウトも考慮したWebサイト製作を心掛けました。


顧客との折り合い

趣味でデザインすることと仕事としてデザインすることの一番の違いはここですね。
自分のセンスで製作したデザインが顧客にどう捉えられるか?
その結果どのような反応を得られるか?
顧客の要望に応えつつ、自分のセンスを殺さずに反映させるというのがWebデザインの肝かなあと思った次第です。
特に自社サイトに関しては「ウチにやらせてください」という会社があったのですが、精査したところどうにも私好みのサイトが完成しそうにない。
私好みかどうかは別としても、トレンドを押さえたサイトが作れそうになさそう。
この程度のサイトで決して安くはない製作費用を請求されるのであれば、自分が作った方が良いと判断して、私が作成することを決めた経緯があります。
うーん、センスって大事よね。


センスって資産だと思う

Webデザインに限らず、最近、「デザインは見た目じゃない」とか「センスは必要ない」とかいう声が特にチラホラと聞こえてくるような感じがします。
私は、あまりにも価値観を「こうあるべき」とか「こうあってはならない」と二極化する考え方が正直気持ち悪く感じます。

そもそも人それぞれ違う環境で生まれ育ち、違うものを学んだり関心を抱いた感覚(センス)とともに成長した結果が今だと思います。
例えば私は山形の片田舎の共働きの家で生まれ育ち、両親は常に働いていたので、幼少のころは子供ながら、親があまり家にいないのが当たり前と思っていました。
しかし友人達の家庭環境は、私のそれとは違います。
彼らの気持ちになってみよう、というのは口でいうのは簡単かもしれませんが、おそらくその境遇を体験しなかった人であれば理解することすら困難でしょう。
人それぞれ境遇が違うと感じることも様々です。
センスとは「物事の微妙な感じを悟る心の動き。微妙な感覚。」と言われています。
繊細でその人の生きてきた体験が性格にまで影響するセンスというのは、第三者にはなかなか経験できないものだと思います。

これらの他人のセンスは、アイデアワークに重宝することがあります。
「あ、この人はこんな風に感じるんだ」と自分にはない気付きを与えられることがあります。
特に私は音楽を演っていますので、音楽作成の時には顕著です。
センスというのは新しいことを始める際に、自分の数十年間では気づかないことを他人のセンスが気づかせてくれます。
ユーザーの価値を検証する行為は自分一人ではなかなかできない理由として、一人の経験だけでは価値感が偏り、検証しにくいことが挙げられます。
よって数人のチームでアイデアワークを行うことがありますが、それにより人のセンスに学びを得られるチャンスがあるはずです。
もっと人のセンスがいかに貴重で繊細なものかを学ばせてもらうくらいの気持ちが必要なのでは?と感じています。

デザインは見た目のかっこよさじゃない、とか最近よく言う人がいるように思えます。
そしてそれは私自身もわからなくはないです。
でも敢えて言いますが、見た目はとても大事なことだと思います。
ファッションだってそうじゃないですか?
私はいろんな人に常日頃「オシャレ」と言われています(自意識過剰ではなく)。
おそらく私がUNIQLOのシャツを羽織り「これCOMME des GARÇONSだよ」と言ったら信じてしまうでしょう。
それってどういうことかと分析すると、私という個人が「センスがある」と潜在的にフィルターが掛かっており、普通のモノを身に纏っていても、普通のことをやっていてもセンスがいいと認められるんだと思うんです。

Webデザインでも一緒で、見た目がかっこよくても、奇抜なセンスがビジュアルとして目立ったとしても、それ以前のデザイン工程としてユーザーへの価値がないものをビジュアルやセンスなどで塗り固めてよく見せようという行為に価値がない、というのはあまりにも乱暴な理論で、それは今までの業界の積み重ねが「見た目やセンス軽視」に繋がっているのでは?と感じています。
そういう意味では顧客に満足して頂けるWebデザイン構築が出来て、自分のセンスはイケると感じましたし、面白い体験が出来たと思っています。


最後に

全て完了した訳ではありませんし、納品が終わった後もサイト管理は自分でやらなければなりません。
今回Webデザインを業務として経験させて頂き、デザインにおいて軽視するべきことや「こうあるべき」という考え方よりも、もっと柔らかくその都度問題を見つづけるというデザイン思考を持っておくということはとても大事なことだと痛感しました。
見た目もセンスも大切に。
あまり頑なに「こうあるべき」とか「こうあってはならない」という価値観にそんなに固執せず、やってみようというチャレンジこそが価値のあることではないかと私は考えます。
本職のデザイナーさんに言わせれば、「何を言わんや」ということが満載でしょうが、やってて楽しいのでこれからも依頼があればお受けしようかなと思っている次第です。
いよいよ本業が何なのか自分でも分からなくなってきましたが、株式会社エムシーアイIT事業部長(自称)渡邊を今後ともよろしくお願いします(お前は医療機器売っとけというツッコミ受け付けません)。

mcihp
もうすぐ完成