芋煮会総論
山形の秋の風物詩”芋煮会”
河原で大勢で鍋を囲み芋を煮る会。
都会の方々は「なんのこっちゃ?」と思われるかもしれない。
しかし山形県人にとっては非常に重要な、心の源流と言っても過言ではない行事?会合?祭事?である。
今回は山形県人の心のルーツ”芋煮会”をあえて山形県人という視点ではなく自虐的に、いや、冷静に語ってみようと思う。
概要
芋煮会(いもにかい)とは、日本の主に宮城県と山形県で行われる、河原で里芋を煮て食す会合の総称であるが、その本質はお互いの煮物を邪道扱いすることでカタルシスを得るための会合、ないしは宗教的祭事の一つである。
基本的には里芋の収穫時期に近い秋口に行われる事がほとんどである。
腐れ縁なまでに癒着の激しい宮城県と山形県(庄内は庄内県として分離)だが、こと芋煮会となると話は別である。
なぜなら同じ芋煮という呼称であるものの、中身がまるで異なるからである。
共通点は里芋を入れる程度の話である。
山形県での主流の芋煮(庄内地域は除く)
とにかく拘りとルールが多いので他県の方にはかたっくるしい事この上ない。
主なルールを以下に列挙する。
従って味噌味のモノはそもそも芋煮じゃない。
豚汁だよ豚汁そんなもん!!!(若干冷静さを欠きました)
国産牛(可能であれば山形牛や米沢牛が良い)に限る事。
灰色はそもそもこんにゃくとして認めない。
どうしても食さねばならない場合は「これは美味しい豚汁だなぁ」等罵声を浴びせつつ食する事。
というかちゃっかり山形の芋煮会のイベントで登場したりする。
など、無数にしきたりが存在する。
もはや文化論争の域に入っていると言っても過言ではない。
このことから山形県人は、古くからのしきたりに厳格で、日本人が忘れてしまった大切な「何か」を守ろうとしていると考察できる。
庄内地域での主流の芋煮
庄内地方でも芋煮会が催されたりするのだが、これがまた要するに一言で書くと豚汁である。
しかし宮城県よりもフリーダムではなく、「味噌」と「豚肉」が鉄則である。
ただでさえ山形県版芋煮のシェアが少ないというのに、出羽山地で分断されているせいで内陸と庄内は作り方が統一されていない。
実際に、庄内地方は「芋煮県」じゃなくて「枝豆県」と呼ばれている位(私だけですか?)、下越地方(新潟県)との同一性が強い地域。
「庄内地域は県として独立するのではないか?」とか「庄内地域は新潟県に仲間入りするんじゃないか?」と言われている(私だけですか?)。
宮城県での主流の芋煮
基本的には味噌で味付け、豚肉を用いるのだが、外部の人からはそれなんて豚汁?という印象を持たれて終了。
実際作り方もいい加減で「とりあえず食えるものならなんでも鍋に突っ込みゃいいだろう、里芋さえ入っていれば芋煮なんだから。」的な発想の元作るようだ。
このことから宮城県人は日本式民主主義的環境下にあると考察できる。
どさくさに紛れて、魚介類を入れてある事がある。
また、宮城県は東北の他県からの移住者も多いので彼らが地元の風習を持ち込み、山形出身者が牛肉を入れたり、岩手出身者が鶏肉をいれたり、果ては秋田出身者がきりたんぽを投入する事態も発生している(この時点ですでに大惨事)。
彼らにとっては何が入っていようとも「芋」が主人公でありさえすれば芋煮なのである。
唯一ルールがあるとすれば、宮城県人が山形風の芋煮を食べる際は「これってすき焼きと何が違うの?」等罵声を浴びせつつ食する事位で、もともとはせいぜい任意参加であり、罵声を浴びせ合うのも親睦の情だと思いたい。
日本一の芋煮会(山形市)
毎年9月の初旬頃に山形市馬見ヶ崎河川敷にて日本一の芋煮会が執り行われる。
直径6mの超弩級鍋と専用重機を用いて、宮城に対する最終決戦に挑む。
かつて置賜地域(米沢市近隣)の絶対的英雄である直江兼続を題材とした大河ドラマ「天地人」を放送していた時のスローガンは「元気人」であったという黒歴史はあまり知られていない。
その他、ここでも厳しい鉄の掟が無数に存在するのだが紹介しきれないので割愛。
しかし、山形県タイプの芋煮を食する人口はどうあがいても少数派なので、このようなイベントに意味があるのかそもそも疑問である。
その他以下のような点が問題視されている。
9月上旬はどう考えても里芋の旬ではない。
その他秋の味覚と呼ばれるモノもことごとく旬を逸している。
もっと遅い時期にすればいいのに。
専用重機の稼働軸油にも食用油を使っているという、本会専用の大型重機を使って鍋の中の食材を引っかき回すが、なんとなく食欲が削がれる。
しかし、すべては天然由来成分で出来ているから安全としている。
なおかつ、なんか河原にわんさか出るトンボが、鍋から出る湯気に負けて落ちまくってその時点で大惨事です…
食育上、極めてよろしくない。
芋煮は直径30cm程度の鍋でも、ご家庭のガスコンロで美味しく、かつ安全に作れますから!!!
少数派の芋煮なんて珍しいモノ見たさに殺到した観光客のガッカリ度は、察するに余りある。
ちなみに原因としては排水ポンプが故障されたためとされているが、大風吹けば桶屋が儲かるじゃないんだから、何の関係があるのかいまいち分からない。
衛生上問題があるのか?
更に今回は宮城県からの観光客にすき焼きと誤解されないように配慮をしたためか、庄内版芋煮も6500食分作ったそうだが、結局2500食分余ったらしい。
当然これらを廃棄することなど、大変、いや、死ぬほど食育によろしくない。
無料配布出来たべしたー! 等という山形県人の詭弁としか言いようがない主張は、もはや空しさすら感じてしまう。
実行委員会には、ちゃんと算数と量の計算の出来る人はいなかったのだろうか…
無論実行委員会の、煮始めてから時間が経過し、里芋が溶けてお客に提供できない状態になった等というしょうもない言い訳も、山形県人のプライドも溶けてお客に顔向けできない状態になったであろう事は、容易に察することが出来る。
その他
とまぁ上記の様な要領なので、みんなで芋煮を作るときにだいたい山形県人はこだわりを主張するのだが、当然少数派なので結果として豚汁が出来上がり豚汁だと思って食べようという考え方になる。
あるいは、わざわざ専用に別途鍋・具材を用意し、山形県版芋煮を作る場面もしばしば見られる。
そのくらい山形県人にとって、芋煮は自らのアイデンティティとも言えるほど重要なのだ。
アメリカ人のBBQに対する思い入れに似た何かを彷彿させる。
逆に、宮城県人から芋煮の作り方等の論戦をふっかけてくる事は希である。
芋煮会のシーズンになると、宮城・山形のコンビニでは薪が販売される。
もちろん宮城・山形に電力やガスが無い訳ではない。
当然、河原で芋煮会をする時の燃料として使用するのだ。
コンビニにもスーパーにも芋煮用に鍋の貸し出しなどがあったりする。
芋煮どんだけ好きなんだよ、山形県人。
I LOVE IMONI
はい!
芋煮大好きですっキリッ!
という事で、自虐的に書きましたが会社の面々とやってきました芋煮会!!!
「屋根プリーズ!」と仰る女性陣のために設営
釜に火が着きました!
火を見て興奮する小生、少年の心を持つ男
調理班
野外でも音楽
はい、山形県人のルーツ、芋煮完成!!!
仲良さげ(いや、普段も仲良いですよ、本当に)。結局屋根が有効活用されていないところにも注目
焼き芋も焼いたぜよ
これも山形県人ならみんな大好き、パインサイダー
締めはカレーうどんにして食す
余った薪をかまどにぶっこみキャンプファイヤー(ほぼ火災、悪ノリし過ぎな弊社)
余ったパインサイダーを一気飲み、少年の心を持つ男(この後お腹崩壊)
キャンプファイヤー(いや違うから)囲みながら抹茶ラテ
我が社は普段とても仲が良いんですが、芋煮会によってますます親睦が図れたかなーと思います。
そうです。
そうなんです。
芋煮会はコミュニケーションを円滑に進めるための重要な儀式なのですっ!!!
飲み会などでは到底得られる事の出来ない満足感と満腹感、そしてコミュニケーション。
例え他県の方に何て言われようが、山形県人は芋煮会をこよなく愛しているのですっ!!!
アイ ラヴ イモニ フォーエバー!!!
(別に河原でBBQでもいんじゃね?という冷ややかなご意見お待ちしております)
食後は後片付けしてる上司ほったらかして童心に帰って遊ぶ遊ぶ遊ぶ!少年の心を持つ男