自然の脅威と人類の叡智

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う東日本大震災。
今現在も福島第一原子力発電所の諸問題をはじめ、解決していない問題が山積しています。
自然災害は恐ろしい。
これだけテクノロジーが発展していても、我々人類は自然の脅威に対して無力なのでしょうか?





ライフラインの寸断と人の流れ

2011年(平成23年)3月11日14時46分18秒(日本時間)、宮城県牡鹿半島の東南東沖130kmの海底を震源とする東北地方太平洋沖地震が発生した。
地震の規模はマグニチュード (Mw) 9.0で、日本周辺における観測史上最大の地震である。
最大震度は宮城県栗原市で観測された震度7で、震源域は岩手県沖から茨城県沖までの南北約500km、東西約200kmのおよそ10万平方キロメートルという広範囲に及んだ。

この地震により、場所によっては波高10m以上、最大遡上高40.1mにも上る大津波が発生し、東北地方と関東地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害をもたらした。
また、大津波以外にも、地震の揺れや液状化現象、地盤沈下、ダムの決壊などによって、北海道南岸から東北を経て東京湾を含む関東南部に至る広大な範囲で被害が発生し、各種ライフラインが寸断された。

Wikipediaより引用


震災震災当日の事を、今でもハッキリと覚えているのは私だけではないはずです。
ライフラインがほぼ完全に寸断され、極度に不安な夜を過ごしました。
都心では交通機関の完全な麻痺により、俗に言う「帰宅難民」が多数発生。
近年で最も多くの人々の”流れ”が滞った一日とも言えるでしょうし、我々がいかに自然災害に対して丸腰同然である事が露呈したとも言えます。


自然災害に対するテクノロジー

では、人類の叡智はどこまでいっても自然の脅威に負けてしまうのか?
この動画をご覧下さい。
震災の日、首都圏の人々はどう動いたか?
携帯電話のGPSデータをもとに、東日本大震災時の首都圏の人の流れを可視化したモノです。
地震直後(映像の「0:47」あたり)から動きが鈍くなることがわかります。
この研究データは、今後の災害対策に生かされるそうです。

このアニメーションは、携帯電話のGPSデータをもとに、2011年3月11日の東日本大震災時の人の流動を再現したものです。
具体的には、東京大学空間情報科学研究センターと共同研究を行っている(株)ゼンリンデータコムの「混雑統計(R)」データを用いています。

「混雑統計(R)」データは、利用者の許諾を得た上で取得された携帯電話のGPSデータをもとにして個人が特定できないように秘匿処理を行っている統計データです。

全国での該当者は人口の0.5%強程度に相当すると言われ、最短では5分に1回程度のデータがアップロードされます。
アニメーションについては、色がGPSが進んでいる方向ごとについているので、地震前には色々な方向に人が活発に移動するとともに、点の数も密度濃く存在していることがわかります。
一方で地震直後は動きがなくなり、色がほとんどついていないこととともに、点の数も減っていることがわかります。

また、その後、23時頃から郊外への通勤列車網が徐々に回復してきていることもわかります。
こうした全体の俯瞰状況を共有することにより、今後、例えば、災害時のリアルタイムな対応等の議論が進むことなど期待されます。

「People Flow Project(人の流れプロジェクト)」より引用


人の流れプロジェクト
本サイトは、東京大学空間情報科学研究センター「人の流れプロジェクト」に関するサイトです。   近年、防災や防犯、マーケティング、交通・都市計画などにおいて、ダイナミックに時々刻々と変動する人々の動きを …

この動画をはじめて見たとき、不謹慎ながら美しいと思いましたすいません。
網の目の様に張った鉄道路線や道路を行き交う人々。
物流と人の流れは、まるで我々の体内を隈なく行き渡る血液の様でもあります。
しかし、地震発生直後その流れは極端に悪くなる。
これは端的に自然災害の怖さを表している動画です。
しかし同時に、この様なデータをあの瞬間にも収集し続け、トレース・データ化している等、現在のテクノロジーの凄さを表しているとも言えるのではないでしょうか?

実際311の際、通信規制により電話がつながりにくい状況が続く中、従来からのメディアであるラジオにはとても助けられましたし、また携帯からインターネットを使った情報収集が非常に役に立った事を覚えています。
TwitterなどのSNSでは、被災者に対する呼びかけや、ボランティアや人道支援に関する呼びかけ、医師による健康相談、節電を呼び掛ける活動などが行われました。
(一方で、情報交換の容易さからデマ情報も多く発信され問題となった訳ですが…)
地震被害のなかった地域の心ある方が、停電になっているであろう地方に向けて、テレビのニュース番組をそのままUstreamにて配信して頂き、それを震災当日の夜中にiPadで閲覧したのも覚えています。
通信規制で映像としてはカックカクでしたが、それでも音声情報や文字情報だけでなく、映像の情報が入手出来たのは非常にありがたかった。
また、震災以降、各携帯キャリアは災害情報のインフラを強化し、災害時に使用するアプリケーションなども急速に増加しました。


自然災害 vs 人類の叡智

自然と人類との共生共存は非常に難しいもので、人類のエゴにより自然は失われていきますし、自然災害は沢山の尊い人命を奪ってしまいます。
自然の脅威は突然やってきます。
それは防ぎ様がありません。
そして残念ながら自然災害に人類は無力です。
しかし、前述した動画を見て、一見無力に見える人類の叡智は、非常に高い水準で自然災害に挑んでいるという事を再認識しました。
普段何気なく使っているTwitterなども、テクノロジーの塊です。
研究者や開発者の方々の日々の努力により、テクノロジーを正しく使えば被害を最小限に食い止める事が出来る、この動画を見ていると、そんな気がしてなりません(もちろんテクノロジーだけではなく、行政や地域の連携等、人と人との繋がりも大事なのは言うに及ばず)。

それにしても、この動画を見て、「今自分が持っている携帯電波のGPS機能ってこんな事まで分かっちゃうの?」的な怖さも感じました。
やましい事をしている諸君、アナタの行動はアナタの携帯によって居場所だだ漏れですよ!
電源切っとくなんて方法はヌルいw
やましい事がバレるのがイヤであれば、その携帯を叩き潰してしまう事をオススメします(当方責任は負いません)。

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