R.I.P. iPod
iPhone 6フィーバーが続いています。
今やAppleの売上の大部分を占めるiPhone。
その影で、私がこよなく愛するデバイスが静かに終焉を迎えました。
iPod classic。
大好きだったiPod。
自分の特別なデバイスだったiPod。
iPodへの鎮魂歌を綴ります。
初めて買ったiPod
私が初めて購入したiPodは第4世代iPod。
忘れもしない2004年12月31日、PowerBook G4と共に手元に届きました。
40GBでカラーディスプレイでもなく、今と比べれば大層貧弱なスペックでしたが、それでもあの日はとても興奮したものです。
ポリカーボネートの優しくて可愛いくて愛嬌のあるデザインに、一瞬にして魅了されたのを覚えています。
それまでの私、コンパクトミュージックプレイヤーには若干、と言うかかなり否定的でした。
「レコードやCDにはミュージシャンの魂が籠っている。圧縮音源なんてミュージシャンに対する冒涜だ。ジャケットアートも然り。オレはパッケージを大事にする。」
なーんて青臭いことを言っておりましたが、iPodを手にして一瞬で考えが変わりました。
自分の有する全ての音楽を片手サイズのiPodに入れてしまうことで、どこにでも全てのライブラリを持ち出すことが出来る様になり、膨大なCDの中からいちいちチョイスする手間が軽減しました。
シャッフル機能を使えば、埋もれていた・忘れていた名曲を思い出すことが出来ました。
なにより煩雑な操作を必要とせず、今までよりも更に気軽に音楽を楽しむことが出来る様になりました。
そしてiTunes Music Storeの出現で、あれほどこだわっていたCDというバッケージへの想いが全く無くなっている自分がいることに気付きました(これが良い悪いはともかくとして)。
現在の私個人の音源購入はダウンロード購入が8割程度を占めるまでになっています。
このように、大袈裟ではなくiPodは私の音楽との付き合い方を根本的に激変させてくれたデバイスと言えるでしょう。
もっとラフに。
もっと気軽に。
もっと楽しく。
そして新しい発見を。
iPodは「音楽って楽しい」っていうあまりにも当たり前のことを再認識させてくれたデバイスです。
仕事や遊びに出かける際、携帯電話を自宅に忘れても全く気にも留めませんでしたが、iPodを自宅に忘れたときは慌てて取りに戻った程、iPodは私の生活に無くてはならない存在になりました。
以降iPodカラーディスプレイや第5世代iPod、iPod miniにiPod nano、iPod classicなど、数えてみるとプレゼントしたモノも含めて11台を購入し現在に至ります。
現在もiPod classic 160GBはお出かけする際の車内でバリバリの現役で使用しております。
第4世代iPod。これで音楽の楽しみ方が変わりました。
ありがとうiPod
しかしiPhone発売以降、iPodは徐々に日陰の存在になっていきます。
考えてみればそれは必然なのかもしれません。
iPodはiTunes必須。
iPhoneもiTunesで管理する訳ですから、今までの資産である音楽や動画が全く無駄になりません。
そしてiPhoneは携帯電話。
携帯電話は現代人にとってプライバシーの塊と化しており、1番身近な、かつ1番重要なデジタルガジェットです。
常に持ち歩く携帯電話で音楽が聴けたら、ミュージックプレイヤー専用デバイスは必要ありませんからね。
それまでの携帯電話でも音楽を聴くことは可能でしたが、ダウンロードした音源を管理するのも、機種変更した場合の引き継ぎも非常に面倒だったと記憶しています。
この辺は爆発的な売上を誇ったiPodと、それを管理するiTunesという下地があったからこそ他社との差別化が図れたのでしょう。
iTunesという土壌にiPodという種を蒔いて、iPhoneで一気に花開いた感があります。
Appleの販売戦略は世界中のどの企業のそれよりも先見の明があったと言えます。
iPodはしばらくアップデートをすることもなく、「販売終了になる」という噂が出始めました。
そしてiPhone 6の発売とともにAppleからのアナウンスもなくひっそりと、本当にひっそりと販売終了となったのです。
哀しい…
ただひたすらに哀しい…
何故このタイミングなのか?
iPhone 6はハイエンドモデルで128GBのフラッシュストレージを有しています。
一方のiPod classicは160GBのハードディスクドライブ。
昔は高値だったフラッシュストレージ。
iPhoneに大容量のフラッシュストレージを搭載することが叶わない時期は、iPodの大容量が非常に魅力的でした。
現に私のiTunes内の音楽だけでも130GBの容量があり、全ての音楽ライブラリを持ち歩くにはiPodでなければ不可能でした。
ストレージというアドバンテージがあったからこそiPod classicは存在していたと考えます。
しかしフラッシュストレージもだんだん価格が熟れてきました。
iPhone 6に128GBを載せることが可能となり、ストレージに対するiPodのアドバンテージがほぼ無くなったとAppleは判断したのでしょう。
iPhone 6を発表したと同時に、私がこよなく愛するiPodというデバイスは静かに終焉を迎えました。
一時代を築いたiPod。
大好きだったiPod。
どことなく愛嬌のあるデザイン。
手に持った時の独特の質感。
クリックホイールの「カリカリカリッ」という心地良く小気味良い操作音。
一度触ったら誰もが使える優れたユーザーインターフェイス。
全てが素晴らしいデバイスでした。
現在所有しているiPod classicが壊れたら、もう同じモノは手に入れることが出来ません。
iPhoneにももちろん音楽はたくさん入っているのですが、やはりiPhoneはスマートフォンであって情報端末なんですよね。
音楽を聴くために特化したデバイスではない。
音楽を聴きこむための、iPodという素晴らしいプロダクトを私は決して忘れません。
ありがとう!
音楽をありがとう!
音楽をありがとう!まだまだ使うよ!