トップオペレーター 〜光藤和明先生〜

まさかこんな日が来るとは思ってもみませんでした。
学会やライブデモンストレーションでスクリーン越しにしか見たことの無かったトップオペレーターのご手技を目の前で体験する事が出来ました。
感動という言葉しか出てきません。
二度とこんな体験は出来ないであろうという現場に立ち会わせて頂き、この仕事をしてきて良かったと心底感じています。





世界のトップオペレーター

普段私は自社内で不整脈治療の領域をメインに担当させて頂いていますが、なにせ人手の足らない零細企業。
同時に虚血性心疾患治療領域の現場にも立ち会わせて頂いております。
担当施設にも恵まれ、山形県内で今症例数がうなぎ登りの施設にて、臨床や製品知識を深めているというラッキーボーイです。

そんな担当施設に、日本の、いや世界のトップオペレーターの先生を招聘し技術指導をして頂くというラッキー&ハッピーな機会を得られました。
その先生とは…
倉敷中央病院の光藤和明先生。


倉敷中央病院 心臓病センター長 光藤和明ご挨拶

光藤 和明(みつどう かずあき)は、日本の医師。
倉敷中央病院循環器内科主任部長で副院長を兼任。
日本心血管カテーテル治療学会理事長。
京都大学循環器内科臨床教授。
1974年(昭和49年)、京都大学医学部卒業、倉敷中央病院に勤務。
カテーテルを使って狭心症や心筋梗塞を治療する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の第一人者。
スイス、アメリカでの実績を知り、1982年(昭和57年)より導入。
一万九千例以上の実績がある。
CTO(慢性完全閉塞)の治療手技で著名。
また血管を傷をつける可能性が高くまだ誰も成功していない世界一硬い30gのガイドワイヤーを使ったカテーテル治療に世界で初めて成功している。
李登輝前総統の治療も行った。
心臓カテーテル治療を日本で初めて行いこの治療を日本に初めて持ち込んだ延吉正清医師とは同じ京都大学循環器内科出身で日本心血管インターベンション学会理事長と名誉理事長という関係である。

wikipediaより引用

超ビッグネーム!
これまで不整脈・虚血を問わず様々な高名な先生方の技術指導の現場に立ち会わせて頂きましたが、これほどまでのビッグネームの先生の手技に立ち会えて間近で見れるというのは後にも先にもこれが最初で最後でしょう。

非常にラッキー&ハッピーなのですが、それと同時に感じる強烈なプレッシャー…
光藤先生の手技に必要な物品手配なのですが、まだ国内販売していないモノや、限られた施設でしか使用出来ないモノなど、一人の先生が動くだけでこれだけのモノが動くのか?という凄まじい物量に完全に白目…
「手技を成功裏に終わらせなければ腹を斬る」くらいの武士道精神で本日を迎えたラッキー&ハッピーボーイ。
光藤祭り、いざっ!


光藤先生が使用するための物品の入った段ボール。実はこれは氷山の一角。この段ボールの山だけで家2軒程建てられる金額に白目…


神業を見た!


光藤先生のレクチャー。論理的でとても丁寧。


レクチャー、レクチャー、アンドレクチャー


光藤先生のご手技。まさにゴッドハンド。


なんなんですかねぇ、このオーラ?

神業を見ました。
ため息が出ました。
とにかく感動しました。
当日は2症例に治療を施して頂きましたが、どちらの症例も穏やかな口調とは対照的に非常にスピーディ。
単にスピーディなだけではなく、論理的な思考と丁寧な手技で治療を完璧に遂行。
特に圧巻だったのが2例目の症例です。
非常に複雑な病変形態で、少なくとも2〜3時間はかかるであろうと予想された症例でしたが、たった50分程で完璧に治療を成功に導いた光藤先生には圧巻でした。
私を含め、あの場にいた先生方誰もが
「ファッ!?」
という顔をし、白目状態。
私も物品提供や機器操作に必死、必死、アンド必死。
なんとか無事に、滞りなく手技の終了まで食らいつく事が出来、切腹することも無く生き永らえる事が出来たにて候。
メチャクチャに疲れてメチャクチャに緊張したけど、メチャクチャに楽しかったにてござ候!


神様に褒められた男!

その後場所を旅館に移して懇親会を兼ねた講演会でも、治療デバイスに関して論理的なお話を展開され、陳腐な言葉ですがとても勉強になりました。
普段何気無く使用しているデバイスも、販売している我々でさえ気付かない、いや、実際に使用している立場だからこそ気付く特性を把握し、症例毎に使い分ける正確かつ膨大な知識。
目の前の症例、目の前の患者様に対する真摯な姿勢。
そのどれもが素晴らしく、感銘を受けました。
光藤先生のお人柄で、終始和やかに夜は更けていったのです。

縁もたけなわとなった頃、当日の手技の会場となった施設の循環器科科長の先生が、
「ウチの施設を今後こうしていった方がいいというアドバイスを下さい。」
と光藤先生にお伺いしたところ、
「今日物出しと機器操作をしてくれたヒゲの彼、1人で良く頑張っていてとても助かりました。ただ、1人で外回りをさせるのではなく、ああいうスタッフを多く育てなければなりません。」

!?
なぬっ!?
私の事じゃあーりませんか!?
どうやら光藤先生は私を院内スタッフとお間違えになってるらしいw
バツが悪そうに地元の先生方がこちらを見て笑いながら
「いや、彼はディーラーさんなんです。」
と伝えると、私を発見した光藤先生、
「ああ、ディーラーさんなんですか?今日は助かりました。あなたは何か資格は持っていますか?」
と問われ、臨床工学技士免許を有している事を伝えると、
「今すぐ病院に入職しなさい」
と仰られました。
ヤバイ!!!
神様に褒められたっ!!!!!
誇張しておりませんがウソだと思われても構いません。
真偽はあの空間にいらっしゃった先生方が知っています。
ちなみに神様に背くようですが、病院に入職するつもりはございません。


懇親会にて談笑する光藤先生。


祭りのあと

このお話は数ヶ月前から計画されていましたが、光藤先生がいらっしゃるという実感が全く湧かないまま、緊張だけが高鳴って当日を迎えました。
おそらく担当施設の先生方もそうだったでしょう。
あれよあれよという間に当日を迎えましたが、本当に勉強になりました。
何より嬉しかったのが、担当施設の先生方が緊張しながらも光藤先生のご手技に食らいつく様にサポートされ、食いつく様にそのご手技や理論を学んでいた事です。
担当としてこれ以上嬉しい事はありません。
また、自分事ですが日本を代表するトップオペレーターに上記の様に名指しで仕事を褒めて頂いたというのは、これ以上に無いほどの自信になりました。
「ああ、自分は間違いなかった、ちゃんとやれている」
そう実感出来ました。
間違いなくこの日はあの場にいた誰もがそれぞれの節目になったであろう事は間違いありません。
今後も更なる研鑽を積んで、地域医療に貢献したい、そう思えた記念すべき日になりました。
光藤先生、本当にありがとうございました。


病院スタッフと記念写真。左上にちゃっかり写り込むヒゲ野郎。


2015年10月18日追記

2015年10月18日、光藤先生の訃報を耳にしました。
昨年と今年、たった2度の機会でしたが、多くを学ぶ事が出来ました。
心より御冥福を御祈り致します。


2016年7月15日追記

CVIT2016にて、光藤先生が生前書き溜めていた原稿を元にして特別な一冊が上梓されました。
インターベンションに関わる全ての人に光藤先生のPCIの考え方、極意が伝承されていくことでしょう。