【家具】イームズのシェルチェアDSRは普遍的な機能性と美しさを持つ傑作
手持ち家具の紹介記事、だいぶ自分では小慣れてきた様な感じがするんですがいかがでしょうか?
完全に自己満足と化してますが今回はデザイナーズ家具界の巨匠、イームズ夫妻デザインの有名な椅子をご紹介します。
チャールズ & レイ イームズとは
(夫)チャールズ Charles 1907.6.17. ミズーリ,セントルイス~1978.8.21. ミズーリ,セントルイス
(妻)レイ Ray 1912.12.15. カリフォルニア,サクラメント~1988.8.21. カリフォルニア,ロサンゼルス
アメリカ合衆国のデザイナー夫妻。美しく繊細,優美にして快適な量産家具のデザインで知られる。
積層合板やプラスチック、金属といった素材を用いて、20世紀における工業製品のデザインに大きな影響を与える作品を残した。Wikipediaより引用
あまりにも有名なイームズ夫妻ですが軽くご説明。
インテリアの業界ではイームズをデザイナー名として使うことよりも、彼らがデザインした家具そのものを指すことが多いです。
その中でもシェルチェアという椅子が代名詞とされています。
というのも、イームズが世に生み出したデザイン家具の大半が椅子です。
イームズは1950年代(ミッドセンチュリー期)、アメリカのオフィス家具メーカーであるHermanMiller(ハーマンミラー)からのオファーにより、数多くの家具をデザインしました。
当時としては最先端技術からのデザインでしたが、現代のようにコンピュータによるデザインではなく、手や体でシルエットを確かめ、オーガニックと形容される優しいシルエットに仕上がっている椅子が多く、大きな話題になりました。
この時代に登場した家具をミッドセンチュリーという言葉で括られるようになったのは何十年も後のことです。
1950年代という、半世紀以上も前にデザインされた椅子が、今でもインテリアシーンに度々登場しています。
ミッドセンチュリーなインテリアと言えば、色のメリハリが際立ち、ブラウンやブラックといったダークカラーと、オレンジやレッド、イエローなどの暖色が効果的に使われているインテリアスタイルです。
イームズの椅子がデザインされた時代もまさにそのようなインテリアがトレンドでした。
現在では、イームズ=ミッドセンチュリースタイルという捉え方だけではなく、実に様々なシーンで使われるようになっています。
どの国のブランドで、どこの国籍のデザイナーがいつデザインした家具かといったボーダーはなくなり、あらゆるシーンで登場するようになりました。
ヨーロッパのアール・デコ調の空間にも、アジアンテイストな空間にも、和の空間にも、もちろん北欧スタイルにも。
イームズチェアは一スタイルを担うパーツではなく、もはやインテリアそのもの。
同じような位置付けにあるインテリアアイテムは極々わずかでしょう。
あらゆるシーンに変化を与え、インテリアの完成度を底上げし、「オシャレ」という言葉を誘い出す最強のプロダクトと言えます。
イームズシェルチェアDSRとは
イームズの代名詞と言える椅子はDSR(ディーエスアール)です。
DSRはダイニング サイドチェア ロッドワイヤーベースの略で、パリのエッフェル塔のような脚のデザインから、通称エッフェルベースとも呼ばれています。
最もスタンダードで最も多く生産されているアイコン的な椅子です。
ちなみにサイドチェアとは肘掛のない椅子の総称です。
日本では、椅子=ダイニングで食事の時に座るものというイメージが強いですが、海外のインテリア上級者は道具としての椅子の他に、空気を変えるインテリアとしての椅子として使っています。
視界に入るたった一脚の椅子が与える印象はとても大きいです。
ポップなカラーの椅子なら明るく、直線だらけの椅子なら堅実な雰囲気に、錆びた鉄の椅子なら工業的なイメージに。
イームズのDSRが与える印象は、柔らかさとファッション性です。
現在ではウッドシェルと呼ばれる木製のシェル(背もたれと座面の部分:DWSR)も登場しているので、あらゆるインテリアに合わせられると言っても決して言い過ぎではありません。
エッフェルベースの、繊細なのに安定感を感じさせるとデザインと、他に類を見ないユニークな形のシェルの組み合わせがメリハリとなり、お洒落なファッショニスタの着こなしの様な印象を与えます。
ボリューム感のあるトップスにキュッと引き締まった艶のあるボトムはファッション用語で言うYラインに値する最もポピュラーなスタイリングのひとつです。
これは多くの人に無意識に「なんかオシャレ!」と感じさせる究極のバランスと言えます。
実際このデザインって街のいろんなところで見かけませんか?
駅のホームで夜な夜な酔っ払いに酸っぱい液をかけられるあの椅子だってDSRに似てますよね。
事実DSRの発表後はそのデザインを模倣した椅子が爆発的に量産されるようになります。
シェルは同じ形で脚の形や素材を変えたものもたくさんありますし、ジェネリック品も非常にたくさん存在してますから、数あるデザイナーズ家具の中でも今一番手軽に入手出来るのがこのDSRであると言えます。
我が家のDSR
案の定僕もミッドセンチュリーデザインの家具に興味を持ったきっかけはイームズの作品でした。
当時読み漁っていたファッション雑誌に、ファッショニスタやデザイナーの過ごす部屋特集が掲載されてました。
ちょうどその頃から、ファッション業界をリードしていた人たちが服だけではなく身の回りのモノ全てをトータルコーディネート的な提唱をし始めた頃です。
そんな人たちの部屋の写真には必ずと行っていいほどイームズのシェルチェアが置いてあったんです。
その時に僕の中でイームズ=オシャレというイメージになったんだと思います。
それまで家具には全く興味が及んでなかったのですが、確かに考えてみればイスというのは家具の中でも一番身に触れる面積が大きい家具ですし、触れている時間も長いモノです。
快適な座り心地を求めるのは当然ですし、オシャレなモノを探すのも必然と言えます。
それからコツコツとお金を貯めて、初めて買ったデザイナーズ家具がVitra社製イームズのDSRのホワイト2脚でした。
巨大な箱に梱包されていたDSRを開封し、実際に座ってみると、見た目とは違ってフワッと柔らかく身体を包んでくれるのが分かりました。
イヤ、素材自体はプラスチックですから硬いんですよ。
でもそのフォルムと適度なクッション感が絶妙で、座り疲れしない椅子というものを初めて経験しました。
また、デザイナーズ家具は置いておくだけで部屋のアクセントになると実感したのもこの椅子です。
それまで部屋のカスタムをDIYで行なって「カッコいい部屋作り」を自分なりに楽しんでいましたが、そこにDSRがやって来ただけで部屋の雰囲気が一変したのを覚えています。
「ああ、やっぱり本物は違うなぁ」
と感じさせられました。
実用的な家具としても良いものですが、部屋の雰囲気を変えるオブジェとしても優れたプロダクトです。
なにより1950年代にデザインされたものが、今の時代においても「なんかオシャレ」と感じさせてしまうというのは凄いことだと思います。
まさに時代を超えた普遍的な美しさを持っているのがこの作品の素晴らしさです。
購入後、住んでいたアパートのダイニングチェアとして大活躍してくれたDSR。
自宅を建てた現在は2階カウンターに並べています。
残念ながらこのスペースは現在あまり使われておらず、DSRに座る機会もあまり無かったのですが、この記事を書く際、久しぶりに座ってみて、その座り心地や愛くるしいフォルムを再確認しました。
これをこのまま使わないのはもったいない。
今後子供達が大きくなったら一脚ずつプレゼントしてもいいかなと思っています。
部屋にひとつあるだけで小洒落た空間に変えてくれるDSR。
これからも多くの人を魅了する椅子のひとつと言えるでしょう。
前述した様に、現在イームズの作品はジェネリック品がたくさん販売されており、価格もお求めやすい金額です。